尿素
2025.08.04
国際市況の逼迫感強まる中、供給動向に注目
◆ 今回の注目ポイント
- FOBバルト海価格が上昇(440〜450ドル):エジプトの減産が供給逼迫を招き、価格が堅調。
- 中東FOB(475〜485ドル)も堅調:インド買い気配強く、トルコの関税撤廃が追い風。
- FOB中国価格が反発(390〜450ドル):国際市況の上昇を背景に当局が価格引き上げ。
- アジア炭市況も上昇(FOB豪ニューキャッスル115.15ドル):国内販売圧力増大。
- インド市場CFR横ばい(494〜495ドル):IPLが買付実施も入札結果待ち。
- LNG価格に底打ち感(欧州・JLCともに下げ止まり)
◆ 世界全体の尿素需給動向
供給制約が継続し価格を下支え
- エジプトの尿素減産がFOBバルト海価格を押し上げ、天然ガス高もコスト面で支援。
- 中東・中国で尿素供給減の可能性が高まっており、需給逼迫感が強い。
- LNG価格は一部下げ止まりつつあり、化学品製造コストへの影響は今後注意。
◆ 地域別動向
【FOBバルト海】
- 価格:400ドル中盤〜500ドル弱(前週比+約12ドル)
- 要因:エジプトの減産、天然ガス価格上昇
- 備考:8月末までは需要鈍化で上値は限定的
【FOB中東】
- 価格:500ドル弱(横ばい)
- 要因:インド買い気配、トルコの関税撤廃による需要増見込み
- 懸念:カターリ積みカーゴの引き締まりで需給さらに逼迫の可能性
【FOB中国】
- 価格:400ドル弱(前週比+約30ドル)
- 要因:国際市況の上昇に伴い、当局が最低輸出価格を引き上げ
- 動向:輸出はガス由来に限定。内販圧力増で国内向け競合に注意
【アジア市場】
- FOB豪ニューキャッスル:117ドル(前週比+約5ドル)
- 山東省渡し価格:240〜250ドル(ドル換算、前週比約▲4ドル)
【日本市場】
- CIF価格:400ドル後半〜500ドル中盤(横ばい)
- 輸入量:7月の中国からの輸入量 2,427トン(前年比+56.1%)
- 港別動向:八代港(99,271円/トン)など一部高値も
- 国内販売:供給遅れにより在庫圧迫、調達多様化が検討される状況
【インド市場】
- CFR価格:400ドル後半(横ばい)
- 入札動向:
∟ IPLが200万トン規模の調達計画
∟ 入札は8月8日に締切、結果待ち
∟ 一部ではネシア産カーゴが480ドルで成約との報も
◆ 今後の注目ポイント
- インドの買付入札の結果(8月中旬):IPLの大規模買付が市況を左右する可能性
- エジプト・中東の供給動向:減産が続く場合、FOB価格のさらなる上昇も
- 中国の輸出スタンス:ガス由来品の輸出制限継続が市場に与える影響に注目
- 日本の在庫逼迫と調達先多様化:尿素製品の調達先拡大の動きが出始めている
- 天然ガス・LNG市況:安定化の兆しだが、再上昇すれば尿素価格へ波及の恐れ