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尿素 2026.10.12

尿素 市況は、中国からの供給増を背景に中東・中国・日本・インドで軟化する一方、バルト海ではLNG高によるコスト上昇が相場を支えている。中東では小粒と大粒で需給に差があり、全面的な供給緩和とは言い切れない。日本の需要家は、輸入品の価格低下と国内品の値上げ提示を分け、インド入札と輸出可能量を確認したい。
主要なFOB指標は、トン当たり300ドル台から400ドル台にまたがる価格帯にある。バルト海は前週より上昇した一方、中東と中国は下落した。中国の供給潤沢感と、LNG高によるコスト上昇が、地域ごとに異なる方向へ作用している。
日本やインドにも中国の供給増の影響が及ぶ一方、中東の大粒尿素には供給制約が残る。相場の軟化だけで調達環境の改善を判断せず、産地と粒形を区別する必要がある。各市場の価格帯は概括的な目安であり、個別の見積もりや成約価格は確認が必要だ。
FOBバルト海は、トン当たり300ドル台半ばから400ドル台前半を目安とするレンジで堅調だった。LNG価格の上昇によって原料コストが切り上がったことが背景にあり、中国や中東とは異なる値動きとなっている。
欧州着LNGは、100万英国熱量単位当たり20ドル台のレンジで上昇した。ただし、欧州の需要家は相場下落を見込み、購入に慎重な姿勢を続けている。コスト上昇による相場の下支えと、足元の買い意欲は分けて捉えたい。
FOB中東は、トン当たり300ドル台後半から400ドル台前半のレンジで弱含んだ。インド向け相場の軟化につれ安となり、とりわけ小粒のプリル尿素は供給が潤沢で下げ足が速い。一方、大粒のグラニュラー尿素は供給制約が続き、比較的底堅い。
ホルムズ海峡では、9月の尿素積載船の通過が前月より増えた。ただし、厳しい通航制限が残り、輸出可能量は多くないとされる。通過の増加だけで供給正常化とは判断できず、粒形別の供給状況と輸出可能量を引き続き確認する必要がある。
FOB中国は、トン当たり300ドル台前半から後半のレンジで軟調だった。供給過剰感を背景に第4期の輸出割当が行われ、100万トン台の枠が設けられたもようだ。供給はインドなどの需要国へ向かったとみられている。
個別オファーは、プリルが300ドル台半ばから後半、グラニュラーが400ドル台前半から後半の水準と伝えられる。関連指標の豪ニューカッスル積み石炭は100ドル台のレンジで小幅に上昇したが、中国の尿素相場は供給潤沢感から軟化した。
CIF日本は、トン当たり300ドル台後半から400ドル台半ばのレンジで前週より下落した。中国の供給増を背景に、主要輸入先であるベトナム積みが300ドル台半ばから後半へ下がったことが影響した。輸入価格には下押し圧力がかかっている。
国内大手メーカーは、7月からの値上げを一部需要家に提示した一方、提示を受けていない需要家もある。実施されれば輸入品に比べて割高となる可能性がある。また、東南アジア積みのカーゴが減少傾向との指摘もあり、価格と入荷量の両面で確認が必要だ。
CFRインドは、トン当たり300ドル台前半から後半のレンジで前週から下落した。国営肥料メーカーIPLの買い付け入札では、8月の入札時点よりオファー水準が低下した。中国からの供給増加が背景にあるとみられている。
買い付け対象は100万トン台半ばから後半の規模で、東西両岸にはそれぞれ200万トン台の応札があったもようだ。中国積みカーゴがどの程度落札されるかに注目が集まっている。落札結果や実際の契約数量については確認が必要である。
競合するエジプト積みのオファーは、FOBでトン当たり400ドル台後半から500ドル台前半へ下落した。買い手の乏しさが背景とみられる。黒海周辺ではトルクメニスタンのメーカーによる10月の尿素設備停止情報も伝えられた。
ナイジェリアではメーカーに10月下旬積みの販売余地があり、アゼルバイジャンでは販売入札の実施が見込まれる。インドネシアの8月輸出は数万から10万トン程度のレンジで、前月・前年同月を下回った。輸出単価は400ドル台で、前月比上昇、前年同月比下落だった。
ブラジルの9月輸入は50万から100万トン程度のレンジで、前月より増えた一方、前年同月を下回った。輸入単価は400ドル台で、前月・前年同月から下落した。貿易統計の数値は丸め処理によって差が生じる場合があり、対象月の違いにも留意したい。
肥料・工業・AdBlueの各需要家は、国内品の値上げ提示が自社の購入条件に及ぶか、輸入品の軟化が見積もりに反映されるかを確認したい。用途別の価格差や供給量は不明であり、一律の影響は判断できない。中国の出荷と中東の供給制約も継続して確認したい。
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【お問い合わせ】エネルギー事業部 尿素部門/E-mail:energy@tns.inc。本記事はティーエヌエス株式会社による独自調査・編集情報です。情報の正確性・完全性等を保証するものではなく、調達・取引の最終判断は各社で行ってください。