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インド買い一服で需給は緩和方向へ中東は軟調、中国は底堅さを維持

【FOBバルト海・中東・中国市場】

国際取引市況は全体として方向感に乏しい展開となった。バルト海は300ドル台後半〜370ドル前後で小動き、中東も400ドル前後を中心に横ばい圏で推移した。一方、中国は400ドル弱〜410ドル台前半まで持ち直したが、インドの旺盛な買いが一巡したことで、相場全体の上昇圧力は限定的となっている。

【バルト海市場】


バルト海は堅調を維持したものの、欧州向けの在庫積み増しは一服感が強まっている。CBAM(炭素国境調整措置)開始を見据えた調達は続くが、倉庫在庫の積み上がりから実需はやや鈍化。欧州のガス価格も10ドル台前半/mmBtuと落ち着いており、エネルギーコスト低下が尿素価格の上値を抑えている。

【中東市場】

中東は弱含み。インド国営IPLの直近入札が想定より小規模にとどまり、買い一巡感が広がった。エジプトを含む北アフリカでの生産回復観測もあり、欧州向け余剰玉が市場に出る可能性が意識されている。FOBベースでは400ドル弱〜380ドル台後半のレンジで軟調推移とみられる。

【中国市場】

中国は生産回復を背景に供給感が徐々に強まっている。工場稼働率の改善により出荷量が増加する一方、来年1〜3月期の輸出枠設定観測から、輸出継続が視野に入っている。工場渡し価格は1,600元台前半〜中盤とやや持ち直し、ドル換算でも220ドル台前半〜230ドル弱水準となった。直近の輸出実績は120万トン台前半と前月から減少したが、前年同期比では増加しており、供給余力の大きさが意識されている。

【日本市場】

CIF日本市況は450〜490ドル台で横ばい。国内メーカーは年末にかけた定修影響で稼働を抑えており、販売余力は限定的だ。こうした中、設備の老朽化や保全コスト上昇を背景に、国内尿素メーカーが尿素を含むアンモニア系製品について、キログラムあたり10円程度の値上げを実施する動きが伝えられた。輸入環境に大きな変化はないものの、国内コスト上昇が今後の価格形成に影響を与える可能性がある。

【インド市場】

CFRインドは400ドル弱〜420ドル台で小動き。IPLによる買い付けは実施されたが規模は限定的で、買い意欲は一巡。次回入札は年明け前後とみられ、数量次第では国際市況への影響は限定的にとどまる見通しだ。

【その他】

ブラジルでは小口需要が散見されたものの、成約水準は400ドル台前半〜中盤にとどまり反発力は弱い。韓国・東南アジアも需給は落ち着いた状態が続いている。エネルギー面では豪州ニューキャッスル炭が110ドル台前半で横ばい推移となった。

【今後の注目ポイント】

・インド次回入札の時期と調達数量
・中国の1〜3月期輸出枠確定と実際の輸出ペース
・欧州CBAM開始前後の在庫調整動向
・中東・北アフリカの生産回復と輸出余力
・欧州LNGを中心としたエネルギー価格の方向性
・国内メーカーのコスト転嫁動向と冬場需給

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