尿素 2025.10.27

FOBバルト海は300台前半から後半に下落。需要期を前にした買い控えで需給が緩んだ。一方で、春肥向け需要が緩やかに戻りつつあり、年末以降は北アフリカの積み出し価格上昇が刺激材料となる見方も。
2026年1月以降に適用される炭素国境調整措置(Carbon Border Adjustment Mechanism=CBAM)の実施を前に、欧州側では調達コスト上昇を織り込み始めており、市場には先高観も残る。
FOB中東は300台後半から400台前半で反発。エジプト産の販売停止が続き供給不安が広がるなか、インドの追加入札期待が買い支えとなった。インドはすでに公社入札を実施しており、結果次第では短期の追加購買に踏み切る可能性も指摘される。
一方、中国の再輸出統制の動向が焦点で、供給サイドが抑制されればアジアFOBの底堅さが続く見通し。
FOB中国は300台後半から400台前半で軟調。10月第2週の降雨で農業需要が鈍化し、市況全体が方向感を欠いている。輸出規制は依然として不透明で、延長の見方が根強い。港湾には約20万トン規模の在庫が積み上がっているが、当局の判断が出るまでは動きが鈍い。
山東省の工場オファーは前週比で小幅高。春肥向け需要は季節的な回復基調に入りつつあるが、買いは慎重。
CIF日本は400台後半から500台頭で横ばい。中国当局の輸出方針を見極める動きが強く、商談は静かなまま。国内では大手メーカーが年末定修を控え供給調整を進めており、冬場の需要増への備えが意識されている。
一方で、中国が追加輸出を制限すれば、年末以降に尿素タンク在庫のタイト化も懸念される。
CFRインドは400台前半から中盤で横ばい。15日締切の入札結果待ち。仮に調達が200万トン規模に達しない場合、インドは短期間で追加調達に動く見通し。市場関係者の間では「入札不成立なら年内相場は再上昇」との見方が多い。
8月の累計輸入量は約360万トン(前年比5%増)と堅調。輸入単価は400台後半で推移している。
1. インド入札結果(10月下旬):追加調達規模が短期相場を左右。
2. エジプト販売再開時期:中東FOBの上値抑制か継続支援か。
3. 中国の輸出統制動向:供給サイド制限が長引けばアジア全体のタイト化。
4. 日本国内定修と冬季需要の兼ね合い:スポット供給に影響。
5. 燃料価格・為替の動向:LNG・石炭の上振れや円安進行が製造・輸入コストを押し上げ。