尿素 2025.10.07
バルト海は$300台後半で横ばい。欧州連合(EU)が2026年1月から導入する炭素国境調整メカニズム(CBAM)を背景に、尿素の輸入コスト上昇が懸念されている。欧州の業者は在庫確保を急ぐ可能性も指摘されるが、現時点では顕著な買いはみられず、全体的に様子見ムードが強い。
中東は$300台後半で軟化。インドの買い付けが一巡したことで需要が弱まり、供給過多の兆しが出ている。中東地域の尿素工場は稼働率が高く、増産傾向が続いており、需給の緩みが意識されている。
中国は$300台後半〜$400台前半で横ばい。国慶節の大型連休により市場は一時的に静観モード。国内の複数メーカーが定期修理を終え、徐々に生産を再開しているとされる。輸出については、中国当局が15日以降の再開を段階的に認める可能性があるが、現時点では詳細が不透明。
一方、アジアの石炭指標「豪州ニューキャッスル炭」は$100台前半で上昇傾向を示し、燃料コストの上振れが製造コストに波及する懸念もある。
CIF日本は$400台後半で横ばい。買い手側の様子見姿勢が強く、中国当局の輸出判断を見極める動き。中国が輸出許可を継続した場合、輸入価格の下押しが続く見通し。一方、国内大手メーカーは定期修理を控えており、短期的には需給がややタイト化する可能性がある。
8月の日本向けインドネシア輸出量は約3,000tで、前年同月比76%減少。単価は1tあたり$460台後半で前年から上昇した。
CFRインドは$460台前半で横ばい。インド国営化学肥料会社(RCF)が新たな入札を準備中と報じられる。対象は東西両岸向けに合計20万t前後。港湾在庫は依然高水準で、需給は落ち着いているが、入札実施時期が遅れれば市況の軟化が進む可能性もある。
インドネシアの輸出量は18万t台で前月から13%減。ブルネイやマレーシアでは尿素工場の稼働率が回復傾向にあり、地域的な供給増がアジア全体の上値を抑制している。
一方、原燃料のLNG価格(欧州着)は$10台前半/mmBtuまで下落。冬季需要期入り前ながらも、エネルギーコストの落ち着きが尿素製造コストの支えになっている。